fLASH BACK

遠回りが楽しいのは 夕焼け君が滲むから

いいひととかいう。

あるひとりの有名なアイドルがいた。

もちろん彼には多くのファンがいた。

ある日、熱狂的なファンが

そのアイドルの車に立てこもったという。

仕事終わり、アイドルが車に向かうと

中には、一人の青年が。

『君、なにやってんの?』

決して声を荒らげることなく様子をうかがう。

そして言う。

『俺のファンなの?』

青年は頷いた。

『だったら俺は、人に迷惑をかけるようなことは
すごく嫌いなんだよね。』


青年は、“警備員に捕まるから。”と

ドアを開けてくれない。

『大丈夫だよ。俺が責任取るから。』

アイドルはそう言って、

警備員を車から離して二人きりにした。

土砂降りの雨の中、二人きり。

“あなたの後ろで踊りたい。”と青年は言った。

『それは努力しないと無理だよ。
すぐにはできない、そんな簡単じゃない。』

アイドルはそう熱く語った。

三十分経った。

『寒くない?俺も中に入れてくれよ。
だめか?まぁ、ここでもいいんだけど。』

一時間経った。

アイドルは、寒さでガクガクと震えていた。

それでも青年はドアを開けてくれない。

『今日じゃないほうが良かったんじゃない?
他のメンバーとも会えたよ。』

『生で見れて良かったじゃん。
俺、かっこいいだろ?テレビで見るよりさ。
よく言われるんだよ。』

アイドルはそう言って笑った。

そこに、“その車をどかしてくれ。”

という男性がやってきた。

『ドライバーさんがいないんだよね。』

アイドルはそう言った。

状況を把握した男性は迷惑をかけちゃだめだ、と

強く、青年に詰め寄った。

しかし、

『知り合いですから!』と、

アイドルは見知らぬ青年をかばった。

それでもドアを開けてはくれなかった。

そしてアイドルも決して声を荒らげることなく、

ただ、その状況は続いた。

『どうしたら開けてくれるの?』

アイドルは少し疲れたような顔をした。

すると、

“歌を歌って欲しい。”と、青年は言った。

『歌?俺ヘタだもん。』

アイドルはそう言って笑った。

それでも、アイドルは大きな声で歌った。

“振り付けもして。”と、青年は言う。

土砂降りの雨の中、

アイドルは歌い、そして踊った。



しかし、これは“テレビ番組のどっきり”だった。


一時間以上、自分のファンだという
知らない青年に対して声を荒らげることなく、

土砂降りの雨の中、

ドアを開けるように説得したのは


若き日の SMAP 中居正広だったという。



――――


最近、どっきりをよく観ています。

今まで観たので一番良かったのは

さっき話した中居くんのどっきりです。

最近、観て良かったのは、
ナイツの解散どっきり。ぜひ観て欲しい。

どっきりってかわいそうとか、

思われがちだけど、いい意味でも悪い意味でも

人のいろんなところが見える。

そしてそれは、

テレビに映ってない素の姿であると思う。

あ、私が好きなのは

人の内面が見えるどっきりであって、

爆発とか、床が抜けるとか、そういうのは

好きではありません。(笑)

本当はこういう人なんだなって

思えることができるのであれば

テレビに映ってる人なんて

真面目で良い人ばっかりなのかもしれない。


――――


中居くんっていろいろ見てると

本当に自分の力を使って
誰かのために生きてるよなあと思う。


後ろで目立つことができない四人がいれば
自らプロデュースして新しいグループを作る。

芸能界復帰後、なかなかテレビに出れない人が
いれば、いろんなところへ挨拶へ行く。

輪に入れない後輩を見つけたら
『ここにどうしてあいつを入れないの?』と
輪に入れる状況を作ってあげる。


全部、全部本当にあった話。


中居くんを見ているとこういう人になりたいと

思うことがありますが、そのためには

自分自身がある程度の力を持っていなければ

成立しないことばかり。

それでも、少しばかり周りを見ようとか

気を遣うことしなきゃとか

一般人に思わせることができるのも

中居くんの力であって、本当にすごいと思う。